ヤンキーとジャップ

ヤンキーとジャップ

CBSで仕事をしていたときのことだが、同じセクションのハンクが私に「ジャップと言われたらどう感じるか?」と聞いた。答えるかわりに「ヤンキーと言われたらどう感じる」かと聞き返したが、彼が言うには「ヤンキーはNew York地方のアメリカ人にとって誇りだし、自分はヤンキーだということもある」と云っていた。私がジャップに関してはどう答えたか忘  れたがたしかにヤンキーという意味は決して悪い意味のあることばではない。ハンクはジャップという言葉はもし使っても(誰も決して使わないが)ヤンキーと同様悪気はないということを言いたいらしかった。しかし、わざわざ私にたずねたり、日常で使わないところがあり、やはりこの言葉には第二次  世界大戦以来持っている意味も残っているようである。下宿で向いに住んでいた大学生のテリーチェスをやっていて、2度つづけて私が彼を負かしたら、彼が「ニップ」と言った。聞きとれなかったので「ニッピキン」(とるにたらないことの意)と言ったのかと聞いたらそうではなくNipだと云う。私  がその言葉はかつて日本人を軽べつ云々…と言ったら彼はものすごく恐縮してしまい、気にするなといった何ども握手を求めて来た。やはりくやしくなるとつい出るらしいが、そんなときには自分がどう反応してよいか困る。つまり相手がどんな気持ちで言ったのかがわからないからだ。たしかに好意で言っているのではないのだがその程度を判断するのが難しい。もちろん正面きってケンカしているときならば、「ゲットアウェイ」とか「ファックユー」と同等なかなり強い献体心の表れと見てよいのだが。しかしアメリカ生活の  中でまず相手が日本人だからといって献体感情を表面に表したり軽べつされたりすることは全くなかったと言える。あるとしたら、むしろ言葉のもんだ  いで上手な言いまわしができず粗野な表現を使って相手の感情をそこなうぐらいだ。しかしだいたいは物ごしで相手に誠意は通じるのでこれも問題はない。高給レストランでも、ホテルでも各観光地で日本人は良いお客さんである。ヨーロッパに比べればアメリカははるかに偏見のない(日本人に対し)進んだ文明国であると思う。

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